双極性障害
双極性障害(躁うつ病)とは
病名にある「双極」とは、「2つの極がある」という意味合いであり、双極性障害とは気分が高揚する躁状態と意欲が低下して憂うつになるうつ状態、この正反対の心理状態を繰り返す病気です。そのため「躁うつ病」とも呼ばれています。「うつ」しか現れないうつ病と治療法が異なるため鑑別が必要ですが、双極性障害の60%以上はうつ症状で始まることが多く、躁の症状が目立たないことも少なくありません。また、躁状態のときは、患者さん自身が病気であるという認識が乏しく、家族など身近な人から指摘されることもよくあります。躁の状態は単にエネルギッシュであるのとは異なり、思考にまとまりがなくなったり、気が大きくなったりします。「統合失調症」と鑑別するのが難しいことがあります。それにより、仕事、人間関係などにおけるトラブル、浪費など社会生活に支障をきたすことが多いため、早めの治療が必要です。
双極性障害の症状
躁の症状
- 色々な考えが次から次へと湧き出てたくさん話をしたり、じっとしていられなくなったりする(転導性亢進、焦燥)
- 「自分は偉い」「自分はなんでもできる」と考える(尊大さ、万能感)
- 眠らなくても平気になったり、活動量が増し色々なことに手を出す(不眠、過活動)
- 浪費が目立つ
- 些細なことでイライラしたり、怒りっぽくなる(易刺激、易怒)
うつの症状
- 憂うつで、気分が重い(抑うつ気分)
- 何をしても楽しくない(意欲の低下)
- 興味が持てない(興味・関心の消失)
- 食欲がわかない(食思不振)
- 眠れない(不眠)
- 思考力や決断力が落ちる(思考制止)
- 疲れやすい(易疲労感)
- 消えてしまいたいと思うことがある(自責の念)
- 自分に価値がないと感じる(無価値感・微小妄想)
双極性障害の治療
薬物療法と精神療法が中心です。
薬物療法
薬物療法では、抗うつ薬を使うこともありますが、維持期には気分安定薬を中心に、症状に応じて抗精神病薬、睡眠薬などを組み合わせます。うつだからといって単純に抗うつ薬を処方するのは危険であり躁転のリスクを伴います。診断や治療には経験を要し、症状を丁寧にみながら、抗うつ薬の用量を慎重に調整していく必要があります。
精神療法
精神療法では、心理教育、考え方や物の捉え方、行動を変える精神療法である認知行動療法を必要に応じて行います。